静岡新聞@エス 2018/07/07記事より転載 イラストで城郭復元 香川元太郎さん原画展、藤枝・島田両博物館 最後に私の名前も掲載されてました。

イラストで城郭復元 香川元太郎さん原画展、藤枝・島田両博物館

(2018/7/7 13:06)

藤枝市の朝比奈城、花倉城、田中城の復元城郭イラストと立体模型が並ぶ展示室
自身初の城郭復元イラスト展開催について語る香川元太郎さん=藤枝市郷土博物館
 教科書や図鑑に掲載される城郭復元イラストの第一人者でイラストレーターの香川元太郎さん(58)=埼玉県在住=の自身初となる「城郭原画展」が、藤枝・島田両市の博物館で同時開催されている。これまで手掛けた約800点から厳選した原画を東日本と西日本に分けて2館に展示。同展のために藤枝市指定史跡の花倉城と朝比奈城も描き下ろした香川さんに作家としての歩みと制作秘話、同展の見どころを聞いた。
 志太平野を見渡す山頂に建つ戦国時代の山城・花倉城や、権力を象徴する天守がそびえる大御所時代の駿府城。城を守る空堀や兵士まで立体的に描かれた絵図が並ぶ展示室で、見学者が城談議に花を咲かせていた。
 香川さんは愛媛県出身。子どもの頃から迷路遊びや城の複雑な通路が好きな「通路マニア」で中高生の頃には城めぐりや日本史にすっかり魅了されていたという。
 日本画独自の美しさに興味が芽生え、武蔵野美術大学の日本画科へ進学した。卒業後は日本画家としての創作と東宝での舞台装画を両立、生計を立てるために出版物の挿絵にも取り組んだ。城のイラストを機に歴史上の人物や戦いの場面などを描く仕事が増え、2000年から学研の歴史読み物「歴史群像」で城郭図を手掛けるようになった。最近はパソコンを使う作家が多いが、手描きならではの精緻な筆致で一目置かれる存在だ。
 難しいのは戦国時代の山城。まず「縄張り図」(遺構から曲輪[くるわ]や堀などの配置を図面化した図)を読み解き、地形を等高線に忠実に再現した下絵を作る。「考証者も納得する下絵を描くには経験と技術が必要だが、自分らしさが一番発揮できる」という。
 現実には存在しない城を絵でよみがえらせたり実在する城の断面図を描いたり、実際には不可能な構図を再現するのが醍醐味[だいごみ]。「考証により異なる復元画が描けるのも、研究者の解釈や想像の幅を広げる助けになって面白い」と語る。現在、史跡整備が進む島田市の諏訪原城は考証の変化に合わせ、修正を重ねた。今回は最新の調査結果を踏まえた原画を初公開中だ。
 県内の城は今川、武田、徳川など時代ごとに治めた武将が変わり城が改修された可能性があるため特に気を使う。「どの家紋の旗を描けば正しいのか解釈が難しい城には家紋を入れていない」と裏話を明かした。

 ■地元の城、立体模型も
 東日本の城を一挙に展示する藤枝市郷土博物館は戦国から江戸期の城約80点と同館所蔵の田中城絵図を29日まで。島田市博物館は諏訪原城など地元の城と西日本の城約70点を9月2日まで。2館とも東京都在住の城郭模型作家岐部博さんの作品も展示。「イラストと立体模型を通して各城が果たした役割を一目で理解できる貴重な機会」(藤枝市郷土博物館)となっている。

静岡新聞@エス 2018/07/07記事より転載

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